プカポンの味はモンスターエナジー?|知育菓子の元祖として消えた粉末ジュース

丸いラムネが浮くソーダ水の中を泳ぐ魚 お菓子

プカポンとは?魚ラムネが浮かぶ不思議な粉末ジュース

子供の頃、台所や自分の部屋で「ちょっとした実験」を仕掛けているような高揚感を与えてくれる駄菓子があった。

今でこそ“知育菓子”という立派なジャンルが確立されているが、昭和のあの頃、そんな小難しい言葉は存在しなかった。
ただ純粋に「不思議で、怪しくて、最高に楽しいお菓子」として僕らの心を掴んで離さなかったのが、カネボウベルフーズ(現クラシエフーズ)から発売されていた粉末ジュース「プカポン」だ。

1978年、昭和53年というレトロおもちゃや駄菓子が百花繚乱の時代に、それはわずか50円という子供のお小遣い握りしめて買える価格で登場した。

コップに魔法の粉をサラサラと入れ、水道水を注ぐ。するとシュワシュワと激しい音を立てて泡が湧き上がり、丸いラムネや小さな魚の形をしたラムネがぷかぷかと水面に浮上してくるのだ。

この「水を入れるだけで魚が浮いてくる」という、ただそれだけのシンプルなギミックに、当時の僕らは激しく興奮した。

ラムネが浮く仕組み|ただのお菓子なのにちょっとした実験だった

プカポンの一番の魔力は、商品名の由来にもなっている「ラムネがぷかぷか浮かび上がる」あの瞬間の一喜一憂に尽きる。

注水と同時に、コップの底に沈んでいた丸いラムネや、お目当ての魚型ラムネが炭酸の泡を全身に纏いながら持ち上がってくる。
理屈で言えば、ラムネの表面に付着した炭酸ガスの気泡が浮力となって持ち上げているだけなのだが、子供からすると

なんで浮くの?

と不思議に感じる絶妙なラインだった。

正直、当時の自分は理屈なんてどうでもよくて、

おー、なんか浮いてるわ

くらいのリアクションしかしていなかったが、
今考えるとちょっとした理科実験のようなお菓子だったと言える。

コップの中に入ったソーダ水の中に魚が泳いでる。それを見ている少年の絵。プカポンのイメージ
※中の魚はラムネです。こんなリアルな魚ではない

味は普通にうまい|ただのネタ菓子ではなかった

こうした見た目の変化を売りにしたネタ菓子は、往々にして「味は二の次」になりがちだが、プカポンは普通に飲み物として美味しかった。
ラインナップは「クリームソーダ味」「いちごソーダ味」の2種類。
特にグリーンの液体が怪しく輝くクリームソーダ味は、駄菓子屋の粉末ジュースとしては頭一つ抜けた完成度を誇っていた。

正直なところ、僕は魚が浮き上がるギミックの楽しさもさることながら、この独特の甘い炭酸水の味が飲みたくてリピートしていた側面が強い。

ただ一つ問題があって、水を多くすると一気に味が薄くなる。
なので毎回「ちょっと濃いめ」に作るのが自分の中の正解だった。


プカポンは知育菓子の元祖なのか?

現在、お菓子売り場には「ねるねるねるね」を筆頭に、自分で混ぜて化学変化を楽しむ「知育菓子」が溢れている。

この言葉自体は、現在のクラシエフーズが2007年に商標登録したもので、教育的な価値を持たせたお菓子の代名詞となっている。

水を入れ、炭酸を発生させ、ラムネを浮かび上がらせる――。
この一連のプロセスを考えると、1970年代後半に生まれたプカポンこそが、現代の知育菓子の原型であり、すべての始まりである「始祖鳥」のような存在だったのではないかと思えてならない。

もちろん、当時の僕らは「これで科学の勉強をしよう」なんて高尚な意識は1ミリも持っていなかった。
ただただ、大人が眉をひそめるような「怪しい楽しさ」の虜になっていただけなのだが、その遊び心が現在の進化したお菓子文化へと繋がっているのは感慨深い。

プカポン以外の知育菓子を知りたい方はこちら
→昭和・平成の「知育菓子」は何が凄かったのか?プカポンからねるねるねるねまで、体験型菓子の魅力を紐解く

モンスターエナジーと似てる?記憶に残る味の正体

私は日頃から、作業のお供として黒と緑の缶でお馴染みの「モンスターエナジー」をよく愛飲している。疲労回復が目的というより、単純に「味が好き」だから買っている。

初めて飲んだとき、

この味、どこかで飲んだことがあるな

と感じた。
記憶の糸を必死に手繰り寄せた結果、行き着いた答えが、あの子供の頃に作った「プカポンのクリームソーダ味」だった。

子どもの頃、水の量を調整しながら「もっと濃く飲みたい」と思っていたあの味。
それが大人になって、たっぷり飲める形で再会したような感覚だった。

もちろん、これは私の味覚の記憶が呼び起こした主観的な印象に過ぎず、万人へと共感を強いるものではない。
ただ私の中で「プカポンのあの味」は、あの緑のMのロゴマークの中に今も生き続けている。

ちなみに、もう一方の「いちごソーダ味」に関しては、全く味が思い出せない。

モンスターエナジーの緑の写真
初めて飲んだ時、どこか懐かしい感じがした

プカポンはなぜ消えた?販売終了の理由

これほどまでに僕らの記憶に爪痕を残したプカポンだが、気づけばお菓子売り場からその姿を消していた。
明確なメーカーからの絶版アナウンスがあったわけではないが、その引き際について考察してみたい。

消え去った最大の理由は、やはり「時代の変化に伴う、より強烈なライバルたちの登場」だろう。
80年代後半に向けて、駄菓子市場にはさらに派手なギミックやおまけが付いた変化系のお菓子が続々と投入されていった。

粉末を水に溶かしてラムネを浮かすというシンプルな驚きだけでは、目が肥えていく子どもたちを繋ぎ止められなくなった可能性が高い。
さらに、後輩である「ねるねるねるね」のような、色が変わって膨らむといった「圧倒的な視覚的インパクト」を持つ商品へとバトンが引き継がれ、役割を終えて自然に戦場を去っていったのだと考える。人気がなくなったというよりは、進化の過程で次の世代に命を繋いだ、美しい撤退だったのだ。


プカポンは復刻されている?現代における復活への淡い期待

実はプカポンは、発売終了後に私たちの前に二度ほど奇跡の復活を遂げている。

1回目はノスタルジーブームが薫り始めた1990年頃、そして2回目は2014年のことだ。
2014年の復刻時は、なぜか当時存在しなかった「グレープソーダ味」としてのリニューアル版だった。

魚がぷかぷか浮くギミックは健在だったものの、あの頃僕らが狂熱した「クリームソーダ味」の再現ではなかったため、おじさんになった私からすると「美味いけれど、求めていたノスタルジーのパズルとはピースが少し違う」という、贅沢な物足りなさを感じてしまったのが本音だ。

もし今、当時のままのクリームソーダ味のプカポンがそのまま復刻されれば、当時子どもだった大人たちが「懐かしさの大人買い」をするだけでなく、現代の強炭酸やエナジー系飲料に慣れ親しんだ若い世代にも「新感覚のカスタムドリンク」として普通に売れるポテンシャルを秘めていると思う。

コップの中に広がる、あの小さな青い海と泳ぐ魚たちを、もう一度だけ眺めてみたいものだ。


まとめ|プカポンは“遊べてうまい”駄菓子だった

粉末ジュースに水を注ぐと、魚の形をしたラムネがぷかぷかと浮かび上がる――そんなシンプルで不思議な体験が楽しめたプカポン。

今でこそ「知育菓子」という言葉がありますが、そのルーツのひとつとも言える存在でした。

懐かしいと感じる人もいれば、初めて知る人もいるかもしれません。
こうした昔のお菓子を振り返ると、当たり前だったものが今では新鮮に映ることもあり、なかなか面白いものです。


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