森永「ぬ〜ぼ〜」とは?あの頃みんなが食べていた懐かしのお菓子
子供の頃の記憶をたぐり寄せてみると、味や形ははっきりと思い出せるのに、いつの間にか目の前からいなくなっていたお菓子がある。
名前を聞けば誰もが「あったね」と目を細めるが、最後に口にしたのがいつだったかは判然としない。
私にとってその代表格が、森永製菓の「ぬ〜ぼ〜」だ。
駄菓子屋の少し埃っぽい棚や、スーパーのお菓子売り場で、あの黄色くて丸い、なんとも言えないトボけた表情のキャラクターと目が合うのが日常だった。
特別に高級なご褒美でもなければ、クラス中が熱狂するようなおもちゃ付きのお菓子でもない。
けれど、あの素朴な佇まいは、確かに僕たちの放課後に優しく溶け込んでいた。

「引き算の優しさ」がもたらした、エアインチョコ×モナカ
ぬ〜ぼ〜の最大の魅力は、口に入れた瞬間のあの「はかなさ」にあったと思う。
手に取ると驚くほど軽く、かじりつくと最初にモナカの薄い皮がサクッと崩れる。
その直後、中に隠されたエアインチョコが空気を含んでふわっと溶けていくのだ。
板チョコのように「よし、チョコを食べるぞ」と身構えるほどの重さはなく、かといってスナック菓子ほど塩気や軽さに振り切っているわけでもない。
甘いものを少しだけ、でもお腹にたまらない程度につまみたい。
そんな子供心の「ちょうどいい隙間」に見事におさまっていた。
当時、定番の味に加えていちご味やプリン味、時にはコーヒー味などが並んでいるのを見て、「今日はどっちにしよう」とお小遣いの小銭を握りしめながら、少しだけ贅沢な悩みに浸っていた時間も、今となっては愛おしい思い出である。
今売られているお菓子で言えば、名作「ぷくぷくたい」を食べたときに感じるあの独特のサクサク感と口溶けのバランスが、当時のぬ〜ぼ〜の記憶を最も鮮明に呼び起こしてくれる。

時代を先取りしていた「がんばらなくていい」キャラクターの魔力
ぬ〜ぼ〜を語る上で、テレビから流れていた田代まさしさんのどこかトボけたCMと、あの白い(パッケージによっては黄色い)マスコットキャラクターの存在を忘れることはできない。
当時はまだ「ゆるキャラ」なんて便利な言葉はなかった。
それでも、文房具やちょっとしたおもちゃ、果てはゲームボーイの画面の中にまであの丸いシルエットが進出していたのを見れば、あのキャラクターがどれほど子供たちに受け入れられていたかがよく分かる。
誰でも数秒で描けてしまうようなシンプルな線なのに、なぜか目が離せない。現代の「ベイマックス」にも通じるような、ただそこにいるだけで安心させてくれる不思議な魔力があった。
グミやアイス、さらにはアニメ化までされるという、今思えば一菓子としては異例とも言える広がりを見せていたが、それもすべてはあのキャラクターが醸し出す「がんばらなくていい雰囲気」に、僕たちが無意識のうちに癒やされていたからではないだろうか。

なぜぬ〜ぼ〜は消えたのか?販売終了の理由
これほど親しまれていたぬ〜ぼ〜も、90年代の半ばを過ぎる頃には、気がつけばお菓子売り場で見かけなくなっていた。
メーカーからの明確な理由告知に触れた記憶はないが、一人の買い手としての実感を言えば、お菓子業界の「高機能化・多機能化」の波に飲まれてしまったのではないだろうか。
90年代後半に向けて、お菓子はよりザクザクとした強い食感や、派手なギミック、あるいは洗練された大人向けの味わいへとシフトしていった。
そんな激しい競争の中で、モナカと空気のチョコという「優しすぎる引き算のお菓子」は、次第に流行の影へと隠れていってしまったように思える。
ブームが去ったというよりは、お菓子売り場が少しずつ賑やかで忙しい場所に変わっていく中で、役目を終えて静かに戦場を去っていった……そんな印象を持っている。
ちなみに当時、子供たちの間で大人気だった漫画「地獄先生ぬ〜べ〜」の読切版のタイトルが「ぬーぼー」だったという噂を耳にしたとき、妙に親近感を覚えたものだ。
お菓子との直接的な関係は不明だが、あの時代を駆け抜けた言葉の響きとして、私の中に不思議なリンクとして残っている。
特別ではない、けれど替えが利かない日常のピース
ぬ〜ぼ〜について誰かと語り合うとき、面白いことに「人生で一番おいしかった」と熱弁する人にはあまり出会わない。 毎日欠かさず食べていたわけでもない。必死に関連グッズを集めていたわけでもない。
それなのに、誰もが覚えている。 それは、ぬ〜ぼ〜というお菓子が、僕たちの「なんてことのない普通の日常」に、そっとピースのようにはまっていたからだと思う。
学校帰りの他愛のないおしゃべりや、放課後の公園のベンチ。そんな何気ない風景の片隅に、いつもあの黄色いキャラクターがいた。
もし今、あの優しい口溶けがそのまま復刻されたなら、私たちは懐かしさだけでなく、日々の忙しさから少しだけ解放される「ちょうどいい癒やし」として、もう一度あの白いアイツを両手で迎え入れるに違いない。
懐かしさだけでなく“普通に美味しいお菓子”として再評価される可能性はかなり高いと思う。
もし復刻されたら、懐かしさもあってもう一度食べてみたいと思う人も多いのではないでしょうか。

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※記事内の画像はイメージイラストです。


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