【ウエハースの粉にまみれた、四角い台紙の小宇宙】
1980年代後半、小学生のヒエラルキーは「持っているシールのレア度」によって冷酷に決定されていた。
社会現象となったビックリマンの影で、僕の心を激しく揺さぶったのが『ガムラツイスト』と『ラーメンばあ』の連合軍だった。
あの、ペリペリと1枚目をめくるときの緊張感。2枚目の下に隠されたストーリーの奥深さに、僕は本家ビックリマン以上のロマンを感じていた。
お菓子廃棄問題に心を痛めながらも、なぜか麺を砕いて食べる『ラーメンばあ』の方を選びがちだったあの奇妙な選択理由も、今なら微笑ましい思い出として語ることができる。
さらに、誰もが知るメジャーどころだけでなく、僕の記憶の奥底に刺さって抜けないマイナーシールの世界にも深く切り込みたい。
ブームの狭間でひっそりと、しかし強烈な個性を放っていた『まじゃりんこシール』や、その短命ゆえに今や絶滅危惧種となった『かわりんごシール』の切ない運命。
そして、インターネットという集合知をもってしてもほとんど情報が出てこない、1982年明治製の幻のお菓子『しましまクッキー』のおまけシール。
あの温めると色が変わるギミックや、第2弾のフェルトシールの手触りを、20年以上も捜索し続けている人間が、日本にどれだけいるだろうか。
公式のコレクター図鑑には絶対に載らない、コンプリートの壁に泣いた泥臭い収集体験と、四角いアルミホイルの中に閉じ込められていたあの熱狂の正体を、独自の考察で解剖する。