エディ・マーフィーの吹き替えは下條アトム?山寺宏一版との違いと懐かしい吹き替えの話

80年代のニューヨーク市警のイメージ アニメ・映画

エディ・マーフィーの吹き替えといえば?下條アトム版を今でも望む理由

映画好きの人に「エディ・マーフィーの吹き替えといえば誰?」と尋ねたら、若い世代なら「山寺宏一」と答える人が多いのではないでしょうか。

現在では、エディ・マーフィーの吹き替えといえば山寺宏一というイメージがすっかり定着しています。

しかし、私たちの世代、あるいはそれより上の世代になると、「富山敬」や「下條アトム」と答える人も一定数います。

中でも今でも根強い人気があるのが、下條アトムが吹き替えを担当したエディ・マーフィーです。

なぜそこまで下條アトム版を望む人がいるのでしょうか。

今回は、私自身も下條アトム版のエディ・マーフィーが好きだった一人として、その理由について書いてみたいと思います。

私が好きだった下條アトムのエディ・マーフィー

私は基本的に洋画を見るときは字幕派です。
ですが、ジャッキー・チェンとエディ・マーフィーだけは、なぜか吹き替えで見るタイプです。
そのため、私も下條アトム版のエディ・マーフィーを今でも望んでいる一人です。

特に多くの人が下條版を求めている作品といえば、やはり『ビバリーヒルズ・コップ』ではないでしょうか。

もちろん、それ以外のエディ・マーフィー出演作にも下條アトムの吹き替えはあります。

それでも「ビバリーヒルズ・コップを下條アトムの吹き替えで見たい」と思っている人は、かなり多い印象があります。

あの独特な話し方がエディに合っていた

下條アトムの吹き替えは、なかなか言葉では説明しにくい独特の魅力があります。

イントネーションや言い回し、言葉の先頭にアクセントがあるような話し方。そして、どこか人をおちょくっているようにも聞こえる独特の雰囲気。

これがエディ・マーフィーのキャラクターに妙にしっくりくるのです。

もちろん、私たちの世代が子供の頃に最初に見たエディ・マーフィーが下條アトム版だったから、という部分もあると思います。

吹き替えというものは、声そのものだけではなく、「その声を聞いていた頃の記憶」までセットになっていることがあります。

そう考えると、下條版に強い思い入れがあるのも、それほど不思議なことではないのかもしれません。

実は当時から山寺宏一版も存在していた

ここで少し意外な話があります。

「我々の世代は下條アトム版でエディ・マーフィーを見ていた」と書きましたが、実は当時から山寺宏一もエディ・マーフィーの吹き替えを担当していました。

つまり、下條版と山寺版は後から入れ替わったというだけではなく、同じ時代に別々の吹き替え版が存在していたのです。

ビバリーヒルズコップのBlu-rayパッケージ

なぜそんなことが起きていたのでしょうか。

フジテレビとテレビ朝日で吹き替えが違っていた

1980~90年代にかけて、テレビで洋画を見るといえば、フジテレビ系の『ゴールデン洋画劇場』やテレビ朝日系の『日曜洋画劇場』がありました。

そして、この2つの番組ではエディ・マーフィーの吹き替えを担当する声優が異なっていました。

フジテレビ系では下條アトム、テレビ朝日系では山寺宏一が担当していた作品があり、同じ映画でも放送局によって違う吹き替え版が存在していたわけです。

今の感覚からすると、「同じ映画なのに声が違うの?」と思ってしまいますが、当時のテレビ洋画ではこうしたことがありました。

そのため、どの番組を見ていたかによって、エディ・マーフィーの声に対する「自分の中の基準」が違っていたのだと思います。

80年代のデトロイト警察のパトカー

ちなみに『ゴールデン洋画劇場』は1981年まで金曜日、その後は土曜日に放送されていました。
一方、『日曜洋画劇場』はその名の通り日曜日の夜に放送されていました。

これはあくまで私の個人的な感覚ですが、今でもサザエさん症候群などという言葉がある位、日曜の夕方以降になると次の日を考えて憂鬱になるという現象が存在します。

当時もそれと同じように、日曜も終わりに差し掛かる時間帯に放送していた日曜洋画劇場より、土曜日の夜にテレビを見るほうが、翌日のことを気にせず楽しめた人が多かったのではないかと思います。

そのため、土曜日の『ゴールデン洋画劇場』をよく見ていた人の方が印象的で、下條アトム版のエディに馴染みがあるのかもしれません。

『ビバリーヒルズ・コップ』のBlu-rayに下條版を期待した

そんな下條アトム版の吹き替えを待ち続けている人の中には、

下條版が収録された円盤が出るまで買わない

という人もいるようです。私自身も、できれば下條版で見たいと思っていました。

そんな中、『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズ3作品を収録したリマスター版Blu-rayが発売され、1と2の日本語吹き替えが初めて収録されることになりました。

私は以前からDVDを持っていたのですが、1と2は吹き替えが収録されておらず、この新しいBlu-rayの情報を知ったときには、

今度こそ下條版が入るのでは?

と期待しました。

ところが、実際に収録されていたのは山寺宏一版のみでした。

この時

これはもう、下條版の吹き替えが収録された商品は今後も出ないんだろうな

と、ある意味で悟りました。

そして、結局そのBlu-rayを購入することにしました。

山寺宏一版を見てみたら、予想通りだった

ここで、私を含めた下條アトム版を求める人たちについて少しフォローしておきたいと思います。

別に、山寺宏一版が嫌いなわけではありません。
ただ、下條アトム版のあの独特な雰囲気が好き過ぎるだけなのです。

実際、購入したBlu-rayで山寺宏一版を見てみました。

まったく違和感がありませんでした。

むしろ、見始めて数秒で普通に馴染みました。

それはそうだろう。予想通りというか当然というか、あの天下の山寺宏一が吹き替えしてる時点でダメなわけがないのです。

そもそも、その後のエディ・マーフィー出演作では、普通に山寺版で見てきているのです。

そして何より、私が下條アトム版を見ていたのは子供の頃です。
記憶の中では強烈に残っていても、実際のところ下條版が頭の中に完全に染み付いているわけではないのです。

そんな下條アトムも2025年に惜しまれつつお亡くなりになり、AIでも使わない限りは新収録で補えないだろうことを考えると完全に望み薄だと思っています。

下條アトム版が収録されない理由は?

それでも、やはり気になるのが、

なぜ下條アトム版の『ビバリーヒルズ・コップ』がなかなか商品化されないのか?

ということです。

テレビ放送用の吹き替えには、テレビ放送時にカットされた部分があるため、そのままでは映画本編をすべて吹き替えられないという問題があります。

ただ、これだけが理由とも考えにくいところがあります。

たとえば、ジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー』は、テレビ放送時にカットされていた部分だけ字幕に切り替え、それ以外は当時の吹き替え音源を使用するという方法で吹き替え収録されていました。

そう考えると、単純に「テレビ放送版だから収録できない」という話ではないのかもしれません。

音源そのものが残っていない可能性

もちろん、権利関係など複数の事情が絡んでいる可能性もあります。

ただ、個人的に一番ありそうだと思っているのが、当時の吹き替え音源そのものが残っていない、あるいは状態が悪くなっている可能性です。

昔は現在ほど映像や音声のアーカイブが厳重に管理されていなかったともいわれています。

放送が終わった後に二次利用する予定がなければ、テープが上書きされたり、廃棄されたりすることもあったようです。

仮に音源が残っていたとしても、保管状態によってはノイズや音飛びなどが発生し、商品レベルの音質に復元できない場合もあります。

もちろん、これは私自身が確認した事実ではなく、あくまで可能性についての話です。

権利関係なのか、音源の保存状態なのか、それとも別の事情なのか。

外から見ているだけでは、本当の理由は分かりません。

ただ、個人的には「そもそも使用できる状態の音源が残っているのか」という部分が気になっています。

それでも下條アトムのエディが聴きたいなら

ここまで書いてきましたが、

それでももう一度、下條アトム版のエディ・マーフィーが聴きたい!

という人もいるでしょう。

そんな人には、『ビバリーヒルズ・コップ』以外の作品を探してみる方法があります。

例えば『大逆転』のBlu-rayには、下條アトムによる吹き替えが収録されています。

大逆転のBlu-rayパッケージ

また、エディ・マーフィーとロバート・デ・ニーロが出演した『ショウタイム』も、下條アトムの吹き替えを楽しめる作品です。

『ショウタイム』のDVDは現在では入手しづらくなっている可能性がありますが、中古市場などで見かけることもあります。

「下條節のエディを一度聴いてみたい」という人は、こうした作品から探してみるのも面白いと思います。

まとめ

エディ・マーフィーの吹き替えといえば、現在では山寺宏一の名前がまず思い浮かぶ人が多いと思います。

一方で、1980~90年代にテレビで洋画を見ていた世代にとっては、下條アトムのエディ・マーフィーが強く記憶に残っていることもあります。

特に『ビバリーヒルズ・コップ』の下條アトム版には、独特のイントネーションや言い回しも含めて、現在でも根強い人気があります。

私自身も下條版を待っていた一人ですが、実際に山寺宏一版を見てみると、思っていた以上に違和感なく楽しめました。

それでも、子供の頃にテレビで見ていた「あの声」をもう一度聴きたいという気持ちは残っています。

吹き替えというのは、単に外国人俳優のセリフを日本語にするだけではなく、その作品を見ていた時代の記憶まで一緒に残っているものなのかもしれません。

だからこそ、下條アトム版のエディ・マーフィーを今でも待っている人がいるのでしょう。

もし今後『ビバリーヒルズ・コップ』に下條アトム版が収録された商品が登場したら、私はたぶん迷わず買ってしまうと思います。

……とはいえ、まだ持っていない人には一言。

山寺宏一版でも普通に馴染むから大丈夫!素直にこっちを買っておきましょう。


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