『プロジェクトA子』は80年代アニメの集大成?今見ると面白い伝説の作品

高校に登校する二人の女子高生 アニメ・映画

『プロジェクトA子』は80年代アニメの集大成?今見ると逆に新鮮な伝説の作品

かつて、あの宮崎駿氏をもって「あんなものは映画じゃない!」と言わしめたという、伝説のアニメ映画があったのを覚えているでしょうか。

宮崎駿氏がこの発言をした背景にはいろいろあったようですが、そこに関しては正直、私は詳しく知りません。今回はそのあたりは割愛します。

今回紹介するのは、1986年に公開されたアニメ映画『プロジェクトA子』です。

この作品、とにかく80年代のノリとオマージュがこれでもかというくらい詰め込まれています。

「これを1本見れば80年代アニメの雰囲気が分かる」と言っても、過言ではない作品です。

『プロジェクトA子』。

1986年7月号のマイアニメの表紙
1986年7月号のmy Anime

どう考えても、ジャッキー・チェン主演の映画『プロジェクトA』を意識したタイトルです。

実際、そのタイトルの由来も『プロジェクトA』から来ています。

ところが、そんなノリの作品なのに、アニメーションの作画は文句なしに高クオリティ。

特にメカニックの描き込みはかなり細かく、80年代アニメらしい「そこまで描き込む必要ある?」と思ってしまうほどの作り込みを見ることができます。

『プロジェクトA子』はとにかく80年代らしい

今のアニメオタクというと、いわゆる萌え系のキャラクターや、かわいらしい声のキャラクターが好きというイメージが強いかもしれません。

もちろん、80年代のアニメファンも美少女は当然好きだったのですが、それに加えてSFや特撮、メカなどもセットになっていることが多かったように思います。

特にメカへのこだわりは強く、ストーリー上そこまで必要なのかと思うような、無駄に高クオリティな宇宙船やロボットが登場する作品も珍しくありませんでした。

『プロジェクトA子』も、まさにそんな時代の空気を感じさせる作品です。

パンチラ、パロディ、豪快なギャグ……80年代アニメの定番が満載

本作には、当時のアニメではよく見かけたような演出が次々と登場します。

女子高生のパンチラや、食パンをくわえながら着替えるようなサービスカット。

変顔になり服の片方が肩からずり落ちるズッコケた時の表現。

A子が走っているところに誰かがぶつかって吹っ飛んだり、壁にめり込んだり、しまいには民家の中を突っ切っていったり。

見た目は『北斗の拳』に出てきそうな女性なのに、声だけ妙にかわいかったり、別の作品のキャラクターを思わせるような人物が登場したり……。

ああ、80年代のアニメってこういうのあったな

と思わせてくれる場面が次から次へと出てきます。

今見ると、むしろこの時代特有の大らかさが面白く感じられるかもしれません。

『プロジェクトA子』のあらすじ

ここからはネタバレを含みます。

物語の舞台は、200X年の東京。

16年前に隕石が落下して大きな被害を受けた東京は、ようやく復興しつつありました。そんな街にある女子高校・グラビトン学園へ、2人の少女が転校してきます。

北米版プロジェクトA子のDVD

1人は、並外れた怪力を持つ少女・摩神英子(まがみ えいこ)、通称A子。

もう1人は、能天気で天然ボケな少女・寿詩子(ことぶき しいこ)、通称C子です。

そこへ現れるのが、頭脳明晰で大財閥の令嬢でもある大徳寺美子(だいとくじ びいこ)、通称B子。

B子はC子を気に入り、自分のものにしようとします。

しかし、いつもC子と一緒にいるA子が邪魔になる。

こうして、A子とB子によるC子をめぐったドタバタ劇が始まります。

そして、そんな2人の争いが繰り広げられている一方で、地球には謎の巨大宇宙船が接近していました。

A子の怪力は一体何なのか?

主人公のA子は、普通の女子高生とは思えない怪力の持ち主です。

ロボットを1人で持ち上げてしまうほどの力を持っています。

タイトルが『プロジェクトA子』なので、最初に見たときは「何かの組織のプロジェクトによって怪力にされた少女なのかな?」と思うかもしれません。

ところが、そういう話では全くなく、そもそも作中でA子がなぜあんなに怪力なのか?という理由も作中では特に説明されていません。

何かの研究施設で人体実験をされたとか、特殊なプロジェクトによって改造された少女というわけではありません。

しかも、この隕石設定がストーリーの中で重要なのかというと、覚えておく必要もない位、何も関係ありません。

隕石が落ちた影響でA子が怪力を身に着けたという情報もあるが、私の知る限りその情報がどこで紹介されているのかは分かりません。
当時小説が出ていたので、もしかしたらそこに書いてあったのかもしれませんが、私は所持していないので確認することは出来ませんでした。

「ジ・アニメ」という当時のアニメ雑誌の中で監督の西島克彦氏のインタビューの中で、

なぜA子はあんなに強いんですか?

との問いに、

もし力がなければA子は普通の女の子で終わってしまって主人公ではなくなってしまう。そうなると話が進まなくなってしまうのでA子に力をつけた。

ラストの方に両親を出してA子に力がある一つの要因にとして見せようという感じです。

と語っています。

昭和61年7月号のジ・アニメの表紙
左:C子 中央:A子 右:B子

要はA子の怪力は話の都合上であり、その怪力の理由付けとして両親をラストの方に見せることでA子が生まれつき怪力であることを納得させようっていうことらしいです。

このラストに出てくる両親というのも、私には誰だか分かりませんでした・・。

情報によると、A子の部屋に両親がスーパーマンとワンダーウーマンだという描写・匂わせがあるらしいので、おそらくそういう事なのだろうと思います。

今見ると豪華に感じる声優陣

声優陣も、今になって見るとかなり興味深いです。

B子を演じているのは篠原恵美さん。

この『プロジェクトA子』が篠原恵美さんの声優デビュー作として知られています。

さらに、B子の取り巻きには林原めぐみさんや小粥よう子さんも出演しています。

林原めぐみさんといえば、後に『らんま1/2』などで知られるようになります。

小粥よう子さんは『キャプテン翼』の大空翼役で知られる声優です。

そして、B子役の篠原恵美さんも『セーラームーン』のセーラージュピター役など、さまざまな人気作品で活躍することになります。

現在の感覚で見ると、「こんなところに後の有名声優が!」と思えて、なかなか感慨深いものがあります。

『プロジェクトA子』は面白いのか?

では、実際に見て面白いのか。

これは正直、かなり人を選ぶと思います。

良くも悪くも、80年代アニメそのものだからです。

今のアニメを見慣れている人が見ると、「何だこれは?」となる可能性もあります。

我々の世代でも、好き嫌いは分かれると思います。

なにしろ、作品の中に深いテーマがあるわけでもありません。

社会問題を描いているわけでもなく、人生について考えさせられる作品でもありません。

基本的には、頭を空っぽにして、何も考えずに見るタイプのアニメです。

A子とB子が大暴れして、街が壊れて、ロボットが出てきて、宇宙船まで出てくる。

何でこんなことになっているんだ?

と考え始めたら負けです。

そういう勢いだけで突っ走っている作品なのです。

それでも作画やメカは一見の価値あり

ストーリーについては人を選ぶと思いますが、アニメーションそのものは一見の価値があります。

特にメカや背景の描き込みは、80年代アニメが好きな人なら楽しめる部分ではないでしょうか。

現在のアニメとはまた違った、セル画時代ならではの質感もあります。

「昔のアニメだから作画が荒い」という単純なものではなく、むしろ「こんなところまで描くのか」と思わせるような部分があります。

ストーリーを真剣に考察するよりも、

80年代のアニメって、こんな感じだったな

と楽しむ作品なのだと思います。

『プロジェクトA子』は全部見るべき?

『プロジェクトA子』は第1作の劇場版に加えて、

  • 『プロジェクトA子2 大徳寺財閥の陰謀』
  • 『プロジェクトA子3 シンデレララプソディ』
  • 『プロジェクトA子 完結篇』

と続いています。

北米版プロジェクトA子2のBLU-RAY

私は第3作と第4作はまだ見ていないので、シリーズ全部について語ることはできません。

ただ、個人的にはまず第1作だけ見れば十分なのではないかと思っています。

現在では日本版DVDの入手も簡単とは言えず、2003年に発売されたDVD完全BOXなどもありますが、気軽に手を出せる価格ではないほどのプレミアがついています。

海外版などもありますが、これも今微妙にプレミアが付きつつあるので手に入れるのであればなるべく早めに購入する事をお勧めします。


まずは第1作を見て、「このノリが好きだ」と思った人が続きを見ればいいのではないでしょうか。

まとめ|『プロジェクトA子』は80年代アニメの勢いを楽しむ作品

『プロジェクトA子』は、今のアニメとはかなり違ったタイプの作品です。

深いテーマがあるわけでもなく、緻密なストーリーを楽しむ作品でもありません。

とにかくA子とB子が暴れまくり、街を壊し、ロボットが出てきて、最後には宇宙まで巻き込んでしまう。

そんなハチャメチャな作品です。

ただ、その一方で作画やメカニックの描き込みはかなり力が入っています。

そして何より、80年代アニメ特有の勢いやサービス精神のようなものが、これでもかというほど詰め込まれています。

今見ると「こんなの今のアニメではなかなかやらないよな」と思う場面も多く、ある意味では当時のアニメ文化を知る資料のような面白さもあります。

個人的には、ものすごく面白い映画だったというより、

「昔のアニメって、こんなに自由だったんだな」

と楽しむことができた作品でした。

ストーリーにあまり期待せず、80年代アニメのノリや作画、メカ、パロディなどを楽しむつもりで見ると、意外と楽しめると思います。

こういう作品が普通に作られていた時代というのも、今考えるとなかなかすごいものです。


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